新型コロナウイルスの第六波流行予想曲線を更新します。

今回対数シグモイド関数で近似しました。前回お示ししました流行曲線は流行の立ち上がりのデータを基に近似しましたが、その後流行が収束に向かうにつれて、報告数と予想曲線の間に大きな開きが出てきました。対数シグモイド関数を使っても、2つの曲線の重なりと見なすべきであるとの結果が得られました。それが、上の「新型コロナウイルス感染症第六波」です。「第六波」(紫)と「亜第六波」(赤)の和から得られた予想曲線(オレンジ色)これまでの新規感染者数の推移を重ね合わせたものです。3月中旬まではかなり一致しているように見えます。

それでは「第六波」と「亜第六波」はどのようにして生じたのでしょうか?今のところ答えは見つかりません。

第一の可能性は、流行の出発地点が2か所あって、それぞれの地点から流行波がおのおの独立して全国に波及した、というものです。これは、各都道府県(東京においては行政各区)での流行の時間経過の関係を調べることで、明らかになるかもしれません。

第二の可能性は、「第六波」と「亜第六波」の原因病原体が異なる、というものです。第六波の原因病原体はオミクロン変異株とされていますが、オミクロン変異株には遺伝子の変異部位の違いによってBA.1系、BA.2系の2系統があることが報告されています。これらが時間差をもって流行しているために「第六波」と「亜第六波」の2つの流行波が生じたという可能性です。この可能性については、分離されたウイルスの変異部位の推移と各流行波が時間的に一致するかを調べることによって明らかになるでしょう。

ここ4月に入ってから「第七波の流行のが始まったのではないか」との声が上がり始めています。3月下旬から報告数(青柱)と予想曲線(オレンジ色)の間に乖離が見られます。この乖離が独立した流行曲線であるのかは今のところ分かりません。ExcelのSolverでは計算不能という結果が出ていますので。これまでの流行傾向からは1ヶ月程度早い印象を持ちます。第七波かどうかの結論が出せるのは4月半ば過ぎと考えます。